My Yahoo!に追加 Add to Google Subscribe with livedoor Reader うつ病情報館をはてなアンテナに追加はてなアンテナに追加

精神科初診時の注意

精神科を初めて受診するなら、幾つかの注意事項があります。病院によっては初診でも予約が必要なことがありますから、電話などで事前確認をしてください。また、紹介状がある場合は忘れずに持参してください。初診の場合はすぐ診察してもらえる病院とかなり待たされる病院がありますから、時間潰しができる文庫本や雑誌などを持っていくとよいです。精神科で初診の場合、問診票といった様式で質問されることがありますし、簡単な心理検査があることもあります。医師にもよりますが、結構根掘り葉掘り訊かれます。慌てないためにもメモしていくのも良いです。一人が無理と感じるならば、家族や事情を知っている友人が付き添うのが良いです。精神科の薬を既に服用している場合は、その薬を必ず持参して医師に見せてください。薬剤情報の紙でもよいです。2重投薬は非常に危険な状態に繋がることがあります。
■精神科での問診
○現在の症状(一番困ってること、どんな症状があるか)
○その症状はいつ頃からあるか
○症状が出始めての変化(悪くなってきてる・マシになってきてる・変わらない)
○仕事は学校など社会的にどのくらい影響が出てるか
○症状が現われるきっかけと思われることがあるか
○その症状に対して本人がどのように受け止めて対応し、その結果はどうだったか
○家族など周囲の人はどのように受け止めているか
○症状に悪影響を与えている因子には何があるか
○治療方法について本人の特別な希望があるか
○生まれ育った環境・学歴・職歴など
○既往歴(現在他の病気がないか、過去に心身の大きな病気をしたことがあるか)
○家族歴(家族構成や家族の既往歴など)
○薬剤アレルギーなど特異体質の有無
○お酒を飲むか、飲む場合はどのくらい

適応障害とは

適応障害とは、重度のストレス障害のひとつで、はっきりと確認できるストレスが原因で起こる障害です。適応障害を引き起こすストレスの原因は生活環境や社会環境の変化です。環境の変化に対して心理反応・行動反応・身体反応などさまざまなストレス反応が起こりますが、過敏に反応しすぎたり過剰に反応が持続したりすると、適応できなくなって障害が起こることがあります。ストレスへの脆弱性が発病の起因になって事が多いといわれています。適応障害がうつ病や不安障害と違う点は、適応障害は障害の原因としてのストレスが特定できますが、うつ病や不安障害はストレス要因は必須ではありません。原因になっている特定の社会的心理的ストレスがなければ適応障害は起こらないということです。適応障害の診断基準はDSM-ⅣやICD-10にもとづきますが、軽症うつ病との鑑別が難しく、治療せずに放置しているとうつ病に移行する危険性があるといわれています。適応障害の治療は、適応障害の原因になっているストレスを特定して、休職・休学などの休養によりストレスを軽減しながら薬物療法や精神療法などを行うのが一般的です。適応障害の原因となる環境の変化には、就職、独立、転居、結婚、離婚、失業、病気、事件などがあげられ、適応障害の症状は情緒面や行動面にあらわれますが、精神的症状としては抑うつ気分や不安など精神的な症状があげられ、この症状が原因になって出社拒否症・不登校・ひきこもりといった状態に陥ることもあります。五月病・四月病・九月病・年末年始症候群と呼ばれるものも適応障害と見なされています。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病や不安障害との医学的定義上の違いは、適応障害ではストレス原因が明確で、うつ病や不安障害ではストレス原因が必ずしも明確でなくとも構わない点です。だた、適応障害とうつ病の病態は非常に似ているため診断が難しい場合もあるようです。適応障害とうつ病では、抑うつ気分の症状に違いがあります。適応障害の場合は、抑うつ気分となるストレス原因が存在する状況ではうつ病的なのですが、遊びや趣味などストレス原因がない状況では元気が戻って普通に過ごすことができます。一方、軽症うつ病の場合は、ストレス原因がない状況であっても元気は戻らず抑うつ気分が存在します。適応障害は自分の好きなことや興味があることはできるのに対して、うつ病は自分が好きなことに興味が持てなくなり楽しめなくなります。このように適応障害と軽症うつ病には違いがありますが、適応障害の治療法と軽症うつ病の治療法に極端に大きな違いはないようです。適応障害の治療の基本はストレス原因を避けて休養し、薬物療法や精神療法を行います。

適応障害の診断基準

適応障害とは、ストレスが原因で起こる障害ですが、適応障害の診断は難しく、DSM-IVとICD-10で診断基準がわずかに違います。DSM-Ⅳの診断基準をベースに適応障害を定義すると、適応障害とは、ストレスの原因が明確で、ストレス反応が始まって3ヶ月以内に情緒面もしくは行動面に不調が現われ、うつ病や不安障害の診断基準を満たさず、ストレス原因が消えてから6ヶ月以内に不調が消えている、となります。また、症状の持続が6ヶ月以内の適応障害を急性適応障害、継続的なストレスが続いている状況で6ヶ月以上症状が持続している適応障害を慢性適応障害と呼びます。ストレス原因がなくなったにもかかわらず6ヶ月以上症状が持続する場合は、他ストレス障害(PTSD、分類不能の重度のストレス障害)や特定不能の不安障害などを考慮する必要があるとされていますが、ICD10では、遷延性抑うつ反応は最長2年間持続するとされています。
■適応障害の診断基準(DSM-IV)
○はっきりと確認できる大きなストレス、また継続的反復的なストレスが発症の原因。
○そのストレスを受けてから3ヶ月以内(ICD10では1ヶ月以内)に情緒面また行動面の不調として症状が現われる。
○不安障害やうつ病(気分障害)などの診断基準に該当しない。
○ストレスが死別反応(親しい人との死別)によるものではない。
○発症原因となるストレスが排除されてから半年以内に症状が軽快し不調が消えている。

適応障害の症状

ストレスが原因で起こる適応障害の症状は、情緒面と行動面に現われます。適応障害の症状としては、抑うつ気分・不安症状などの情緒的症状や、不眠・食欲不振といった身体的症状が多いのですが、適応障害の症状の進行によっては問題行動を起こす場合もあります。青年期や小児期においては、行為障害・夜尿症・指しゃぶりなどの退行現象が現れたりします。社会生活・仕事・勉強などに支障をきたして、生活機能が低下したり業績や学力が低下したり、場合によっては就業や就学自体が不可能になる場合もあります。 DSM-Ⅳでは適応障害の主な症状は、現われる心身の症状によって6つに分類されています。
■適応障害の症状の分類(DSM-Ⅳ)
○抑うつ気分を伴う適応障害の症状:抑うつ感・無気力感・絶望感・悲哀・悲嘆などの気分症状が優勢。涙もろくなったり、発作的に泣き叫んだりすることもあります。
○不安を伴う適応障害の症状:漠然とした不安・神経過敏・心配・否定的な概念・いらいらなどの気分症状が優勢。これら症状が不合理であると本人は気づいています。
○行為の障害を伴う適応障害:ストレスを被った後に行為の著しい変化を示し、問題行動・人の権利の障害・社会規範や規則に対する違反行為などに対しての懸念・やましさ・自責の念が少なくなり、それら異常行動を起こしてしまうことが優勢。(無断欠席・無謀運転・喧嘩・万引き・過剰飲酒・今まで破ったことのない規則を破るなど)
○情緒と行為の混合した障害を伴う適応障害:「行為の障害を伴う適応障害」にある異常行動に起こした後に後悔・自責の念・心配・恐怖といった感情を持つものの、その後、再び同様の行動を繰り返してしまう状態です。
○身体的愁訴を伴う適応障害:疲労感・頭痛・腰背部痛・感冒様症状・不眠・摂食障害・動悸・ふるえなどの身体的症状が優勢。
○特定不能の適応障害:「行為の障害を伴う適応障害」にある異常行動は示さないものの、従来と違う特別な行動がある場合の状態です。社会的ひきこもりが優勢。(人との接触を避けて引きこもる・仕事の停滞・長時間1人でいる・電話や手紙に返答しないなど)

適応障害の治療方法

適応障害の多くは適切な治療を受けることで治ります。適応障害は精神疾患の中でも軽症の精神疾患です。適応障害の治療は原因になっているストレスを特定して、そのストレスを軽減することが重要です。適応障害の治療方法としてはストレス耐性を上げるなどの精神療法が有効とされていますが、ストレスの多くは継続していることが多く、精神療法にも時間がかかりますから、周囲のサポートが極めて重要になります。また、抑うつ感や不安感がある場合は、抗うつ薬や抗不安薬などによる薬物療法も用いられますが、薬は一時的に辛い症状を和らげる為のもので、薬そのものは適応障害の直接的な治療方法とはなりえません。
■適応障害の治療方法
適応障害の治療は、ストレス原因の軽減、ストレス耐性の強化、ストレス反応の抑制です。
○ストレス原因の軽減
ストレス原因を軽減すれば適応障害も軽減することになります。環境要因を調整して適応しやすい環境に整えるだけでなく、休職・休学して休養することが必要な場合もあります。病気の原因であるストレス因子が除去または軽減されないと、症状が再発する可能性が高いともいわれています。適応障害と診断されたらストレスとなっている原因そのものを改善すべきとの認識が重要になります。
○ストレス耐性の強化
ストレスに対する耐性を上げてストレス脆弱性の体質改善を図る精神療法が効果があるといわれています。認知行動療法・カウンセリング・対人関係療法などがあります。
○ストレス反応の抑制
ストレスが原因で起こる精神的肉体的症状は薬物療法によって和らげます。抑うつ感や不安といった症状がある場合には抗うつ薬や抗不安薬などの薬による治療方法がとりますが、薬物療法は対症療法であって根本治療ではないと考えるのがよいです。

不安障害とは

不安障害は高確率でうつ病に合併することが知られています。不安障害とは、頭を離れない病的に強い不安で日常生活に支障をきたす病気です。不安障害の原因には精神的身体的要因が考えられます。不安障害の症状を引き起こす原因としては、環境ストレスに対する反応が不適切であったり、生命に関わるような出来事といった強烈なストレスとされています。かつては神経症と呼ばれていた不安障害には、広場恐怖・社会恐怖(社会不安障害:SAD)・対人恐怖症などの恐怖症、脅迫性障害、全般性不安障害(GAD)、パニック障害、ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などがあり、それぞれ不安障害の症状に特徴があります。不安障害の診断は主に症状に基づきますが、ストレス耐性は個人差が大きく、また不安障害が多発する家族もあることから遺伝も不安障害の一因とも考えられるため、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を除く不安障害を診断時においては家族歴も参考にするようです。不安障害の治療は不安障害の種類によって異なります。うつ病に合併しやすいとされる不安障害は、概ね不安障害がうつ病に先行して発症し、うつ病が不安障害に先行することは稀です。また、不安障害がうつ病と合併する場合は、うつ病そのものが重症化しやすく慢性化しやすいとされています。

全般性不安障害

全般性不安障害(GAD)とは、漠然とした慢性的な不安感で精神的身体的症状を伴う不安障害のひとつです。全般性不安障害(GAD)は、他の不安障害やうつ病を併発する可能性が高く、他の不安障害やうつ病が発症するベース(基盤)となる不安障害と考えられています。全般性不安障害(GAD)の不安の原因は特定のものに限定されず、とりたてての理由や原因がない漠然とした不安感で、自分ではその感情をコントロールできません。次々と出てくる不安や心配の対象は身の回りの日常的な出来事であったり、大きな事故や犯罪に巻き込まれるかもしれないといった根拠のない大きな不安や心配だったりします。全般性不安障害の症状としては、ソワソワした落ち着かない気分やイライラ感といった精神症状や、頭痛・肩こり・不眠・動悸・頻脈・息切れ・口渇・冷や汗・めまい・震えといった身体症状です。全般性不安障害の治療は、カウンセリングなどの精神療法と薬物療法の併用です。認知行動療法は全般性不安障害の治療として効果的といわれています。身体的症状を強く感じることが多いため内科を受診することが多いようです。全般性不安障害の診断基準(DSM-Ⅳ)はおよそ次のとおりです。チェックしてみて当てはまる場合は、精神科か心療内科など専門医に相談することをおすすめします。
■全般性不安障害の診断基準(DSM-Ⅳ)
○仕事や学業などの多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配を感じている状態が6ヶ月以上続いている。
○不安や心配がない日よりある日のほうが多い。
○不安や心配を自分でコントロールすることが難しいと感じている。
○不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
・そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
・疲れやすい
・集中できない、心が空白になってしまう
・刺激に対して過敏に反応してしまう
・頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
・眠れない、または熟睡した感じがない

※全般性不安障害(GAD):Generalized Anxiety Disorder
※従来の不安神経症と呼ばれた病態は、DMSの診断基準によって全般性不安障害(GAD)かパニック障害に診断されます。

パニック障害

パニック障害とは、突然に前触れもなく起こるパニック発作を中心症状とした不安障害です。パニック障害の原因は解明されていませんが、パニック障害の原因としては、ストレス・環境・遺伝・パニック発作誘発物質・脳内神経伝達物質が考えられています。パニック障害の中心症状であるパニック発作に加えて、予期不安と広場恐怖がパニック障害の特徴的症状です。パニック障害の症状が進むとパニック発作の頻度が多くなり、パニック発作を繰り返えすうちに強い不安や恐怖がトラウマになり、予期不安や広場恐怖に進みます。パニック障害は慢性化しやすく、パニック障害が原因でうつ病を併発することがありますが、このうつ病はパニック障害による 続発性(二次性)うつ病であるため、パニック障害の治療により消失するとされています。パニック障害の治療としては薬物療法や認知行動療法などの精神療法のほか呼吸法などの治療方法があります。ただ、パニック障害の治療が不十分だったり、パニック発作がさほど激しくないために治療されずにいると、残遺症状と呼ばれる発作症状ほど激しくない軽い症状が続くことがあります。精神科や心療内科などの病医院で専門医の受診することが、パニック障害克服の第一歩と考えるのがよいようです。
■パニック障害の症状:パニック発作
パニック障害の診断準では、下記の症状のうち4つ以上が同時に突然起こり、10分以内にピークに達するのがパニック発作です。3つ以下の場合は症状限定発作と呼びます。これら発作症状に伴って常にある症状が自分ではコントロールしがたい激しい不安感です。パニック障害と診断するには、検査で身体的異常がないことが前提になりますし、予期しないパニック発作が繰り返し起こる、予期不安や死んだり狂ったりするのではという恐怖など心気症的不安などが1ヶ月以上続く、などが基準としてあります。
○動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
○発汗
○全身の震えや手足の震え
○息切れ感または息苦しさ
○窒息感、または喉がつまった感じ
○胸痛や胸部の圧迫感不快感
○吐き気や医の不調、腹部の不快感
○めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
○現実感がない、離人症状(自分が自分でない感じ)
○常軌を逸する、気が狂ってしまいそうな恐怖
○このまま死ぬのではないかという恐怖
○異常感覚(皮膚感覚麻痺、またはうずく感じ)
○冷感または熱感(皮膚が冷たい、または熱いという感じ)
■パニック障害の症状:予期不安
パニック発作は非常に強烈な体験です。その発作をを繰り返すと、「また起こるのでは」と不安に囚われ、ときには死の恐怖さえ感じたります。これが予期不安です。発作を起こすことによる状況を恐れ、また起きるのではないかとさらに不安に感じます。発作の度に予期不安が増すという悪循環に陥ると、外に出られなくなってしまう事もあります。 発作の回数が減っても、なかなか消失しないのが、予期不安の特徴です。
■パニック障害の症状:広場恐怖
パニック障害のパニック発作においては、発作が起こった場所や状況は発作の原因と全く関係ありません。ですが、特定の場所や状況をパニック発作という強烈な経験と結びつけた予期不安をもつと、特定の場所や状況を恐怖の対象として避けるようになります。広場恐怖とは、このように特定の場所や状況を恐れて避けようとする行動(回避行動・逃避行動)を指します。

※従来の不安神経症と呼ばれた病態は、DMSの診断基準によって全般性不安障害(GAD)かパニック障害(PD)に診断されます。
※パニック障害(PD):panic disorder

PTSD・ASD・C-PTSD

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、トラウマ(心的外傷=心の傷)が原因になって心身に症状が現われる障害です。トラウマの原因は、事故・災害・犯罪・重い病気など体験・目撃・直面することで起こる強いストレスです。発症直後は急性ストレス障害(ASD)と診断されますが、症状が1ヶ月以上続く場合に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されます。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の主な症状としては、再体験症状(フラッシュバック)、回避・麻痺症状、過覚醒症状が挙げられます。急性ストレス障害(ASD)の特徴は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状である再体験・回避・過覚醒に加えて解離性症状と呼ばれる健忘や現実感の喪失、感覚や感情の麻痺などが、トラウマ体験直後に強い反応として現われることです。急性ストレス障害(ASD)は一過性の障害で、ICD10では急性ストレス反応と呼称されています。最近では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は単発的な出来事による心的外傷で、長期反復的トラウマ体験による心的外傷は複雑性PTSD(C-PTSD)との考え方があります。慢性のPTSDへの治療としては、グループ治療(集団療法)、認知行動療法、薬物療法、EMDR療法などがあります。
■心的外傷後ストレス障害(PTSD)の特徴的な症状
○再体験症状(フラッシュバック)
トラウマ体験を夢の中で繰り返し体験したり、普段の生活の中で繰り返しその状況を思い出したりする現象です。この症状が激しい再体験はフラッシュバックと呼ばれ、痛みや臭いさえ生々しく再体験してしまいます。再体験症状(フラッシュバック)の発症を事前に防ぐことは難しく、症状の現われ方も、突発的に発症したり、日に幾度となく苦しんだりと、人によって異なります。この症状によって睡眠障害や外出嫌いになるなどの支障が出たりします。
○回避・麻痺症状
再体験症状(フラッシュバック)を避けるために、トラウマになった出来事を思い出させるような状況や関連した事物を避けたり、出来事そのものを思い出せなかったり、感情が麻痺したりします。この症状によって行動範囲が狭くなり、人との摂食を避け、興味を失って感情的に麻痺したりします。
○過覚醒症状
神経が過敏になって何事にも過敏に反応しやすくなります。延々と続く緊張感で心身が疲労して、集中力の低下やイライラ、極度に警戒心が強くなったりします。

※心的外傷後ストレス障害(PTSD):Post-Traumatic Stress Disorder
※急性ストレス障害(ASD):Acute Stress Disorder
※複雑性PTSD(C-PTSD):Complex post-traumatic stress disorder

強迫性障害

強迫性障害とは、かつては強迫神経症と呼ばれていた病気です。不安障害のひとつである強迫性障害(OCD)は、強迫観念と強迫行為の2症状を特徴とします。DSMでは、強迫観念と強迫行為の2症状の両方がなければ強迫性障害とは診断されません。また、日常生活への妨害が1日1時間以上あることも強迫性障害(OCD)の診断基準になっています。 強迫観念と強迫行為は関連することが多く、強迫観念を緩和したり打ち消すために強迫行為を行わずにいられず、重症になると強迫行為の時間が長くなって学業・仕事・家事などに深刻な影響が出ます。症状が起こる状況を避けるために、仕事を続けられなくなったり、人間関係を遠ざけて引きこもり状態になったり、物に触れなくなったりしたりして生活が困難になることもあります。難治性の強迫性障害(OCD)ですが、現在では認知行動療法と薬物療法による評価の定まった治療方法で、完治とはいえないまでも通常の生活程度まで回復が期待できる治療が可能になってきているようです。強迫性障害の治療には時間がかかり根気も必要です。焦らずじっくり治療に取組める環境が大切です。
■強迫性障害の症状:強迫観念
強迫観念とは、馬鹿げていると分かっていても、不要な考えが繰り返し頭の中に起こってきて振り払うことができない考えのことです。強迫観念の中で不潔恐怖に対するものが最も多いといわれています。自分や他人の排泄物や唾液が不潔と感じる、埃やばい菌を過剰に心配する、といった症状です。不完全恐怖もよく見られる強迫観念です。
■強迫性障害の症状:強迫行為・儀式的行為
強迫行為とは、必要ないと分かっていても、その考えに反して繰り返し行なってしまう行為のことです。強迫行為として多い症状に確認強迫と洗浄強迫があります。確認脅迫とは、戸締りされているか・ガス栓を閉めたか・電気器具のスイッチは消されているか、など何度も確認する行為で、何度確認してもその行為を本当に行ったか信じられずに、同じ行為を繰り返します。洗浄強迫とは、手洗い・シャワー浴び・部屋の掃除・家具を磨く、などを執拗に繰り返します。
■強迫性障害(OCD)と似ている心の病気(OCDと誤診されやすい違う病気)
○パニック障害
OCD患者の1~2割に合併症があるという報告があります。
○恐怖症
恐怖症の恐怖の対象が犬・高い所・エレベーターのような密閉空間など特定の場所や物であるのに反して、OCD患者中には社会恐怖がある人もいるものの、OCD患者の恐怖の対象は、汚れ・他人を傷つけるかもしれないという衝動、など抽象的で避けることのできないものであるところが違います。
○強迫性人格障害
強迫性人格障害(OCPD)とは、完全主義で、極端に秩序や厳密さを好みむ人格障害です。OCDとOCPDは違います。例えば、OCPDでは厳密なとらわれ行為を行うことは「自分にとって望ましいこと」であるのに反して、OCDでは、「自分は望んでいないし、苦痛なのだ。でも、強迫観念を打ち消すため・追い払うために行わないではいられない」のです。OCPDとOCDが合併しているケースは非常に稀とされています。

※強迫性障害(OCD):Obsessive Compulsive Disorder
※パニック障害(PD):Panic Disorder
※強迫性人格障害(OCPD):Obsessive Compulseve Personal Disorder
※DSM(Diagnostic and Statisutical Manual of Mental): APA(アメリカ精神医学会)による分類(精神疾患の分類と診断の手引)です。

社会恐怖・社会不安障害

社会恐怖・社会不安障害(SAD)とは、他人による悪い評価、人目を浴びる行動、といった社会的状況に対して強い不安や恐怖を感じたり身体症状が現れることで日常生活に支障をきたすほどになる、不安障害のひとつです。社会恐怖・社会不安障害(SAD)を発症する原因ははっきりしていませんが、セロトニン神経系とドーパミン神経系の脳機能障害が原因のひとつに考えられています。また、遺伝や生まれ持っての性格性質と、経験や考え方などの後天的な環境とが重なり合うことも、社会恐怖・社会不安障害(SAD)の原因として考えられています。社会恐怖・社会不安障害(SAD)は10代半ばの思春期前から成人早期で発症し、男性よりも女性に多いといわれています。社会恐怖・社会不安障害(SAD)は高率でうつ病やパニック障害などのさらなる精神疾患の引き金となることもあります。社会恐怖・社会不安障害(SAD)の症状としては、特定の社会的状況や人前に出る状況に対して著しい不安を抱くことが特徴的で、そのような状況を避けたり、無理に社会参加をすることで著しい苦痛や不安反応が現われたりします。社会恐怖・社会不安障害(SAD)の症状としては、強い緊張と困難を感じて、手足の震え・息苦しさ・動悸・赤面・発汗・めまい・吐き気・声がふるえる・声が出なくなる・頻繁にトイレにいきたくなる、など様々な身体的症状を伴います。対人接触そのものを恐れるようになることもあります。社会恐怖・社会不安障害(SAD)の症状の現われる場面によって、限局型・非全般型・全般型の3タイプに分けられます。会議でのスピーチをする時だけ・人前で字を書く時だけといった特定の場面でのみ起こるのが局限型(2つ以上の場合は非全般型)で、殆どの社会的状況の場合が全般型です。対人関係に苦痛を感じる状態を対人恐怖症と呼ばれてきましたが、社会不安障害(SAD)と対人恐怖症は全く同じではないものの、心理的な不安や恐怖といった症状や身体的な赤面や手足の震えといった症状も基本的には似ており、原因や治療法なども基本的に同じです。対人恐怖症の症状を社会不安障害(SAD)の症状のひとつと捉えて、対人恐怖症を社会不安障害(SAD)と診断することも多いようです。
社会不安障害(SAD)の治療方法としては、非全般型の社会不安障害(SAD)の場合は、支持的精神療法・β遮断薬の一時的服用・抗不安薬の投与・認知行動療法などの治療があります。社会不安障害(SAD)の場合はSSRI(抗うつ薬の一つ)が有効といわれています。
■DSM-Ⅳ-TR(社会不安障害、SAD)とICD-10(社会恐怖)の違い
○病気の表記
DSM-Ⅳ-TRでは、社会恐怖(社会不安障害)のように、「社会恐怖」と「社会不安障害」が併記されています。英語名は、社会恐怖は「Social phobias」、社会不安障害は「Social Anxiety Disorder」で「SAD」がその略です。ICD-10では「社会恐怖」とのみ表記され、その英語名は「Social phobias」 です。
○病気の診断基準(DSM-Ⅳ-TR/ICD-10)
DSM-Ⅳ-TRのほうがICD-10よりも診断基準が詳しく書かれているようです。
・子供の社会恐怖(社会不安障害):診断基準あり/診断基準なし
・中核症状としての診断条件:注視される恐怖と回避の両方/注視される恐怖と回避のいずれか
・身体症状:パニック発作の形をとることがあることのみ規定/赤面・手の振戦・嘔気(吐き気)・尿意頻回を挙げている
・機能障害:社会習慣・職業上の(学業上の)機能障害・社会活動障害/社会的孤立
・小児に関わる条件:18歳未満に対し持続期間6ヶ月以上と規定/規定なし
・恐怖を抱く社会的状況の条件:恐怖が殆どの社会的状況に関連している場合に全般性と特定せよと規定/限定と拡散との記述のみ
・恐怖に対する自覚:恐怖が過剰で不合理であることの病識を取り上げている/取り上げていない

対人恐怖症・社会恐怖

欧米では社会恐怖の方が一般的ですが、日本では社会恐怖よりも対人恐怖が多いといわれています。アメリカ精神医学会によるDSM-Ⅳ-TR(精神疾患の分類と診断の手引)では、対人恐怖症は社会恐怖(社会不安障害)の中に含まれず文化結合症候群(文化依存症候群)として記載され、対人恐怖症(TKS)は「Taijin kyofusho symptoms」という用語があるほど日本特有の症候群とされています。対人恐怖症と社会不安障害(SAD)は似ていますが微妙な違いがあるものの、いずれも人前で恐怖や不安を感じるという症状においてよく似ています。対人怖症になる原因の多くは、過去に起こった出来事と関係しているといわれています。対人恐怖と社会恐怖とは違うのでしょうか?旧来からいわれている対人恐怖症の症状は人見知りの程度から妄想性障害にいたるまで軽症型から重症型といった幅広い概念であるのに対して、社会恐怖(社会不安障害)は不安障害のひとつで、妄想性成分を含まず、不合理性を自覚している点で異なります。社会恐怖は、人前で何かしら行動することについての社会的状況に対する不安が中心の自己志向的で、対人恐怖症は対人関係を重視した他人の目が気になるといった他者配慮的ともいえます。ですが、対人恐怖症も社会恐怖も、最終的には相手に悪く思われたくないという心の動きに至るという点において根本的に異なるわけではありませんし、不安が原因で日常生活に支障を来たすという点においては重なり合うことが多いです。青年期前半に発病して30歳頃を過ぎる頃までには大部分は治癒・軽快するといわれています。
対人恐怖症は様々な症状を包括し、個々の症例によってそれぞれ呼称されます。様々な症状を持つ対人恐怖症ですが、どの症状も対人関係(人間関係)の不安が根底にあるといえます。対人恐怖症の恐怖の対象は、さほど親しくない人と1対1で話したりする場面です。家族や親しい友人とは話ができますし、意外にも大勢の人前で比較的緊張せずに話ができたりします。対人恐怖症の症状としては、対人関係の場において、対人緊張(苦しいほど緊張する)、赤面症・赤面癖(緊張で顔が赤くなる)、会食恐怖(人に見られると緊張して食べれないなど人前での食事を極端に恐れる)視線恐怖症(相手の視線が気になって、目のやり場に困る)、自己視線恐怖(自分の視線が相手を不愉快にさせているのではと感じる)、正視恐怖(不快な思いをさせているのではと感じて相手を正視できない)、表情恐怖(表情がこわばったり、顔がひきつって自然に笑えない)、笑顔恐怖(自分の笑い顔がべそをかいているように感じる)、醜形恐怖(顔や姿が醜いために人から嫌われていると感じる)、多汗症・発汗恐怖症(緊張して異常に汗が出てしまう)、震え恐怖(声が震えたり、手足が震えたりする)、吃音恐怖(どもってしまうようで怖い)、唾恐怖・唾液恐怖症(唾を飲み込む音が相手に伝わるように感じる)、失笑恐怖(笑ってはいけないところで笑い出しそうに思う)、自己臭恐怖(自分の臭いが人に迷惑をかけているように思う)、おなら恐怖症(無意識におならをして人に嫌がられるのではと思う)、電話恐怖症(電話で最初の言葉がつかえて辛い)、などの症状が挙げられます。人前では誰もが多かれ少なかれ緊張し不安や恐れを抱きますが、この不安や恐れが過剰になって悩みや苦痛が大きくなって社会生活に支障が出てしまうことがあります。対人恐怖症は引きこもりを引き起こすことがあります。日常生活に支障が出たり、本人が悩んでいる場合には適切な対処が必要です。病院で治療を受けたり専門家に相談することが必要です。対人恐怖症の治療においては、ゆっくりと焦らずに、少しずつ克服していくことが大切です。

躁うつ病とは

躁うつ病とは、気分障害の中のⅠ型双極性障害とⅡ型双極性障害(DSM-Ⅳ-TR)に相当し、躁状態とうつ状態の2つの病相を繰り返す精神疾患です。ICD-10では双極性感情障害と呼びます。躁うつ病は、セロトニンなどの神経伝達物質が不安定になり躁うつ病相の症状が現われると考えられていますが、はっきりとした発症メカニズムは分かっていません。この躁うつ病発症の原因としては、遺伝的要因が大きく影響することが知られていますが、一つの遺伝子異常による遺伝病ではなく、多因子遺伝であることが原因解明を難しくしています。一卵性双生児では一人が躁うつ病を発症すると、もう一人も7~8割が発症します。ですが、躁うつ病を発症した人の子供の9割は発症しないことから、親から子に単純に遺伝するといった病気ではないようです。躁うつ病(双極性障害)の原因は遺伝的要因だけでなく、社会・環境的な要因が絡んでいると考えられており、躁うつ病を発病しやすい体型や性格(病前性格)があるともいわれています。循環気質の性格(社交的・善良・親切・情味深い、活発な行動力がある反面ときとして気分が落ち込む)で肥満型の人は躁うつ病になりやすいといわれています。
DSM-Ⅳ-TRでは、双極性障害は症状の重さによって、躁うつ病と呼ばれていたⅠ型双極性障害(躁病とうつ病 )とⅡ型双極性障害(軽い躁症状とうつ症状)、循環症と呼ばれていた気分循環性障害(軽い躁症状と軽いうつ症状)があります。比較的躁状態が軽い躁うつ病(Ⅱ型双極性障害)では、うつ病と診断されていることもあるようです。症状が進むと、対人関係でトラブルを起こしたりして、会社・家族・友人など周囲の人まで巻き込んでしまいます。早めに適切な治療を受けることが大切です。病識(病気であるとの認識)がないことが多く、症状が重症になればなるほど、周囲の説得や説明に対しては耳を貸さないだけでなく怒ったり興奮状態になったりします。症状に気づいたら、専門家の診断を仰ぐのが適切な治療への近道です。

うつ病と躁うつ病の違い

うつ病も躁うつ病も気分障害に分類されていますが、病気としては別の病気として扱われています。躁うつ病がうつ病とペアで語られることが多い理由は、躁うつ病のうつ状態がうつ病の症状に似ているためです。うつ病と躁うつ病の違いは、躁状態の存在が特徴的な症状です。躁うつ病の罹患率はうつ病のように高くなく、うつ病よりも再発を繰り返すことが多く、長期にわたる治療が必要になります。躁うつ病を発病する男女の割合はほぼ同じで、初めて躁うつ病を発病する年齢は20歳代がピークで最も多いです。躁うつ病のうつ症状は睡眠障害に違いが見られる以外はうつ病とよく似ています。躁うつ病(双極性障害)を初めて発症するときはうつ状態のケースが多く、当初はうつ病と診断されても、後に2~3割が躁うつ病(双極性障害)に転じます。
■うつ病と躁うつ病の違い:罹患率
うつ病は5人に1人といわれるほど一般的な病気ですが、躁うつ病は100人に1人くらいで、統合失調症(分裂病)に似ています。
■うつ病と躁うつ病の違い:原因
うつ病はストレスなど社会的環境的要因が大きいのに対し、躁うつ病では遺伝的要因が大きく影響しています。
■うつ病と躁うつ病の違い:躁症状
うつ病はうつ症状のみですが、躁うつ病は躁状態とうつ状態の2つの症状があります。
■うつ病と躁うつ病の違い:うつ症状
うつ病も躁うつ病も、うつの症状は睡眠障害の症状を除いて大体同じです。うつ病では不眠が圧倒的に多いのですが、躁うつ病のうつ状態では、過眠も多く見られます。躁うつ病で「睡眠時間が少なくても元気」という時は、不眠というよりは躁の前兆である可能性が高いようです。

躁うつ病の症状

Ⅰ型双極性障害(躁病とうつ病 )とⅡ型双極性障害(軽い躁症状とうつ症状)は、かつては躁うつ病と診断されていた精神疾患です。重症なのがⅠ型双極性障害で、入院を必要とするような重症の躁病エピソードを伴います。それよりも軽度のⅡ型双極性障害では、短期間の軽躁状態とうつ状態が交互に現われますが、秋冬時期は抑うつ状態で春夏時期は躁状態になるといった、季節によって抑うつ症状と軽い躁症状が切り替わるケースもよくあるようです。躁うつ病では、うつ病相のほうが躁病より長く、中間期(正常な状態)をはさんで躁病相とうつ病相という2つの典型的な躁状態またはうつ状態の症状が周期的に繰り返されるのが一般的です。躁うつ病患者の3人に1人くらいの割合で、躁または軽躁状態とうつ症状を同時に発症することがあります。この混合型はラピッドサイクラーに陥ると現われる可能性が高いようです。躁状態が激しいⅠ型双極性障害は、社会的逸脱行為が目立ち社会生活に支障がでて入院を余儀なくされるようなケースです。躁状態が1型よりも軽いⅡ型双極性障害では、社会生活も普通に営め、Ⅰ型程派手な行動がなく「普通より少し陽気な人」といった印象がありますが、当の本人は非常に疲れている状態といえます。
■躁うつ病の症状:うつ病相(うつ状態の期間の症状)
気分の落ち込み、思考力低下、活動意欲の低下といった精神的症状や、不眠や肩こりといった自律神経系の身体的症状を訴えることが多いです。
■躁うつ病の症状:躁病相(躁状態の期間の症状)
○精神症状:気分(爽快・陽気・高揚、愉快・興味や関心の増加、不安定・刺激的・怒り易い、楽観的・自信過剰・優越感)、思考と態度(尊大・誇大妄想、敏速・連想の促進・観念が奔走や炸裂・即断・記憶が亢進・無分別・軽率、健康感)、行動(多弁・言語心迫・不穏・活動増加・干渉的命令的行動・興奮・乱暴・計画倒れ・乱費・社会的脱線)
○身体症状:睡眠(熟眠、短時間睡眠)、欲動(食欲亢進、多飲、性欲亢進)、自律神経系(とくに訴えることはない。強いていえば多尿)

躁うつ病の躁状態の特徴

躁の症状の度合いによって躁状態と軽躁状態に分けられます。躁状態では社会活動や人間関係に著しい障害を生じて入院を必要とするほど重篤な状態ですが、軽躁状態はそこまでには至らずに社会的・職業的機能には影響がない程度とされいます。躁状態の病態を伴う躁うつ病がⅠ型双極性障害で、軽躁状態を病態を伴う躁うつ病がⅡ型双極性障害です。重度の躁うつ病であるⅠ型双極性障害では、社会的悦脱行動が目立ち、躁状態のときに自分が躁状態であるという認識がなく、自覚ができないことによる悪循環が生まれます。それよりも軽度の躁うつ病のⅡ型双極性障害では、軽躁状態のときに自分が躁であるという認識ができる人もいますが、本人はむしろ絶好調と思っていて、気分が良いため気が付いてもあまり気にしないことが殆どで、家族や周囲の人に迷惑をかけてしまったり、自己中心的で尊大になるため対人関係の問題など十分困るような事も起こりがちです。
躁うつ病の躁の特徴としては、興奮・高揚した気分・大声で話す・多幸感・自己中心的・要求が多い・情動不安定・誇大性・我慢できないなどですが、悪化すると支離滅裂な会話・判断力の欠如・金銭感覚の欠落・無秩序・妄想・幻覚などの症状が現われてきます。軽躁状態では、気分の高揚感があり上機嫌で自制が可能です。悪化すると易怒的躁状態になり、怒りっぽくなり、些細なことで感情的になり、不機嫌で、自制が困難になります。更に悪化すると解体的躁状態になり、興奮・誇大妄想・支離滅裂といった状態で自制は不可能になります。躁状態または軽躁状態のときはエネルギーに満ちた状態ともいえるのですが、エネルギーが枯渇すると抑うつ状態に陥ります。躁状態または軽躁状態にある躁病相が激しく長いほどうつ病相は辛く長くなります。
■躁うつ病の躁状態のチェックポイント
抑うつのない通常の気分と明らかに違って、気分が異常に高揚している状態が1週間以上(軽い躁では最低4日間)続いて、その期間に次の7つ中3つ以上に当てはまったら、躁うつ病の可能性があります。
・ 自分は偉くて、何でもできる人間だと感じる
・ 睡眠時間が短いのに、疲れたと感じない、またはよく眠れたと感じる
・ 普段よりおしゃべりになる
・ 次から次にいろいろな考えが頭の中にあふれてくる
・ やりたいことがいろいろあり、やり始めてもひとつの事が続けられないなど、重要でない又は関係ない刺激に次々と反応する
・ 職場や学校、家庭内で活発になり、自分は絶好調だと感じている
・ あまり深く考えずに、好ましくない結果になる可能性が高い行動に熱中する(買い漁り・馬鹿げた投資・性的無分別など)

躁うつ病の診断

躁うつ病(双極性障害)は診断が難しい病気です。躁うつ病(双極性障害)の大多数がうつ病相で発症し、躁うつ病(双極性障害)の躁状態またはうつ状態において決め手になるような診断根拠になりうる身体的症状や、客観的な検査方法もないからです。躁うつ病(双極性障害)と確定診断されるまでに、年単位で精神症状や経過をみる臨床診断になります。その間に、単極性うつ病と診断されて抗うつ薬治療単独といった不適切な治療で急速交代化(急速交代型:躁病相とうつ病相が年間4回以上出現するラッピッドサイクリングのこと)や混合状態(躁状態とうつ状態が同時期にあらわれている状態)となどが現われたりして躁うつ病が難治化することがあります。多くの躁うつ病(双極性障害)がうつ病と間違われるのは、うつ状態の時だけ受診する傾向があることに加えて、うつ状態の方が躁状態よりも長いことが挙げられます。また、同様の症状があることから、躁うつ病(双極性障害)が人格障害(特に境界性人格障害)と誤診されることも少なくないようです。
■DSM-Ⅳによる双極障害の診断基準
DSMでは混合性エピソードと軽躁病エピソードが定義されています。躁病エピソードにおいては精神病性の特徴があっても良いとされています。かつての躁うつ病の診断では、精神病性の特徴がある場合は統合失調症(分裂病)と診断される傾向にありました。双極性障害は2型(Ⅱ型)の軽症型を含む一方で、かつての躁うつ病よりも定義が重症化しているとの見方があります。双極性2型は、双極性1型と単極性うつ病の間に位置する誤解されることもあるようですが、双極性障害2型(Ⅱ型)は双極性障害1型(Ⅰ型)とは基本的に違う病気との見方になりつつあるようです。
○双極性障害1型(Ⅰ型)=大うつ病エピソード+躁病エピソード(または+混合性エピソード)
○双極性障害2型(Ⅱ型)=大うつ病エピソード+軽躁病エピソード(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)

躁うつ病の治療

うつ病と双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)は別の病気ですから、うつ病の治療と躁うつ病の治療は違います。また、うつ病の治療目標はうつ状態の改善ですが、双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)の治療目標は躁状態とうつ状態の症状の波をいかにコントロールするかが大きな治療目標になります。うつ病も双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)も薬物療法が実施されますが、単極性うつ病と双極性障害では使用する薬が基本的に違います。単極性うつ病の薬は抗うつ薬が基本ですが、双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)では基本的に気分安定薬を用いて気分の変動が大きくならないようにします。双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)のうつ病相期で「うつ」の症状が強い場合は抗うつ薬を使用することがありますが、双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)では抗うつ薬単独では効果がないか、逆に、抗うつ薬による躁転(突然に躁状態が現れること)や、急速交代型(ラピッドサイクラー)に陥ってしまうことで躁鬱混合型(躁とうつが同時に現われる状態)など、結果的に難治化(治療困難性)の可能性があり注意が必要とされています。双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)と確定診断されるまでに数年掛かることも多く、その間にうつ病の治療を受けている人も同様のリスクを抱えています。軽躁状態を伴う双極性2型(Ⅱ型)はうつ病と診断されていることも多く、気分の落込みがなくなった後に、理由もなく気分が高揚して、自信に溢れて絶好調と感じるとしたら、もしかしたら躁うつ病の躁状態かもしれません。医師(専門医)に相談することをおすすめします。双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)は放置すると再発しやすい病気です。正しい診断がされて適切な治療を受けることが非常に重要です。双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)は残念ながら完治は難しいようです。症状が寛解した後も、再発予防のための維持療法が必要といわれています。薬使用に当たっては、薬の使用目的・効果副作用などについて医師から十分な説明をうけて、指示通りに使用することが肝心です。
■双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)の治療:薬物療法
双極性障害の躁症状とうつ症状の治療及び再発予防の薬としては、気分安定薬が用いられます。炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸が代表的です。炭酸リチウムは、躁状態とうつ状態の治療、および双極性障害の予防に有効とされる気分調整薬です。双極性障害の治療薬として最も標準的に使われている薬で、更に自殺予防にも効果があるとされています。
うつ症状の治療には、気分安定薬で効果不十分な場合は抗うつ薬などが追加薬として使われ、躁症状の治療には、抗精神病薬投与や電気痙攣療法などもあります。睡眠導入剤はうつ症状と躁症状の両方の治療に用いられます。

躁うつ病の経過と予後

躁うつ病(躁鬱病)は、躁状態とうつ状態の期間が周期的に繰り返される病気です。躁うつ病(躁鬱病)の経過の特徴は、この躁病相(躁状態の期間)とうつ病相(うつ状態の期間)以外の躁状態でもうつ状態でもない中間時期(寛解期)には病気でない人となんら変わることがないことです。躁うつ病(躁鬱病)の病相の持続期間は3~9ヶ月が多く、躁うつ病(躁鬱病)の予後は原則として良好で、各病相が寛解した後に精神的欠陥を残さないのが通常とされています。躁うつ病(躁鬱病)の経過の中で注意すべきは、病相を繰り返えす毎に、病相の持続期間が長くなる一方で、病相間隔が短くなって、急速交代型(ラピッドサイクリング)や躁鬱混合型(混合状態)に陥ることです。初期は8年ほどの病相間隔ですが、数年に1回程度から次第に回数が増えていきます。中には、1年に4回以上病相を繰り返すケースがあり、この状態を急速交代型(ラッピッドサイクリング、ラピッドサイクラー)と呼びます。急速交代型(ラッピッドサイクリング、ラピッドサイクラー)に陥ると、うつ状態から躁状態、もしくは躁状態からうつ状態に変わる時に、躁と鬱が同時に現れる混合状態の症状が現われることがあります。躁と鬱の混合状態とは、気分はうつなのに考えや行動は躁の症状といったもので、気分は落ち込み不安が強いのに頭の中に様々なことが浮かんでじっとしていられない、気分は死にたくなるほど憂うつなのに興奮して行動は活発で多弁であるといった風に、躁とうつ(鬱)の症状が混ざっている状態です。
双極性障害(躁うつ病・躁鬱病)には予防薬がありますから、再発を防いだり再発しても軽く済むようです。ですが、一生涯薬を飲み続けるのは簡単なことではなく、薬の服用を止めてしまって再発することがほとんどです。うつ病相に起こりうる自殺という不幸な転帰を除けば、躁うつ病(躁鬱病)は時間の経過に伴って自然に回復しますが、放置していることで社会生活や人間関係に障害が出ます。離婚や失職といった再発を繰り返すことによる二次的な社会的ハンディキャップを無視することはできません。